瑕疵担保責任と契約不適合責任
瑕疵担保責任と不適合責任の構造比較
「瑕疵担保責任」は改正前法の「隠れたる瑕疵」を改めて、すべて「契約内容に適合しない場合」という言葉に置き換えられました。
売主が買主に引渡すべき契約の目的物が、性状・品質において契約の内容に適合しないものであるときは、一種の債務不履行であり、契約違反とし法的責任を認める・・・という解釈になります。
これにより買主には、旧法の損害賠償請求や契約の目的が達せられない場合の無催告解除に加えて、売主が相当の催告期限内追完に応じない場合の催告解除・代替物の提供または補修請求をすることができる「補完請求権」さらに売主の責めに帰すべき事由がない場合(契約違反としての損害賠償請求はできない)に備えての「代金減額請求」が取り入れられました。
売主が買主に引渡すべき契約の目的物が、性状・品質において契約の内容に適合しないものであるときは、一種の債務不履行であり、契約違反とし法的責任を認める・・・という解釈になります。
これにより買主には、旧法の損害賠償請求や契約の目的が達せられない場合の無催告解除に加えて、売主が相当の催告期限内追完に応じない場合の催告解除・代替物の提供または補修請求をすることができる「補完請求権」さらに売主の責めに帰すべき事由がない場合(契約違反としての損害賠償請求はできない)に備えての「代金減額請求」が取り入れられました。
①法的性質
「瑕疵担保責任」
法定責任(無過失責任)
「契約不適合責任」
契約の内容に適合しない場合の売主の責任所在の明確化
「契約責任」
法定責任(無過失責任)
「契約不適合責任」
契約の内容に適合しない場合の売主の責任所在の明確化
「契約責任」
②成立要件
成立要件
「瑕疵担保責任」=隠れたる瑕疵
瑕疵とは、契約時点にて契約の趣旨に適合する通常有すべき性質・性能を有しないことであり「隠れたる」は契約締結当時、買主が瑕疵の存在について知る・知らないことに過失がないこと。
「契約不適合責任」
契約を締結する目的物の種類・品質・数量が契約の内容に適合しない場合
「瑕疵担保責任」=隠れたる瑕疵
瑕疵とは、契約時点にて契約の趣旨に適合する通常有すべき性質・性能を有しないことであり「隠れたる」は契約締結当時、買主が瑕疵の存在について知る・知らないことに過失がないこと。
「契約不適合責任」
契約を締結する目的物の種類・品質・数量が契約の内容に適合しない場合
③効果
「瑕疵担保責任」
a)損害賠償(信頼利益の賠償)→責めに帰すべき事由は不要
ただし・・・売主が隠れたる瑕疵について悪意(知っていた)や知らなかったことについて重過失があった場合は契約違反として=履行利益の賠償
b)これにより買主が契約の目的を達することができない場合は契約解除が可能
(売主の責めに帰すべき事由は不要)
「契約不適合責任」
a)賠償責任・・・他の契約違反と同様扱い=「履行利益」の賠償→ただし、売主に責めに帰すべき事由がない場合は損害賠償義務を免責される。
この場合の売主の責めに帰すべき事由がないことの証明=立証責任は売主にあり→
買主は代金減額請求を選択できる。
*注*
売買契約締結上特約により、目的物に特定の瑕疵(契約不適合)があった場合には売主の帰責事由の有無を問わず一定額の損害賠償責任を負う・・・とする旨を定めた場合で、現にそのような瑕疵(売買契約及び取引慣習上に照らして判断された結果、債務者の帰責事由が否定され損害賠償責任も否定されるといったことは想定されていないとされます。
b)買主が契約の目的を達成することができない場合は契約解除可能
(売主の責めに帰すべき事由は不要)
相当な期間を定め売主への催告期間内に追完応じない場合は無催告解除もありうる
c)追完請求(修補・代替物引渡請求権)
売主の責めに帰すべき事由は不要
ただし、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは「追完請求権」はない。
d)代金減額請求
売主の責めに帰すべき事由は不要
買主が相当に期間を定め履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないとき、履行の追完が不能な場合には催告を要することなく直ちに減額請求ができる。
a)損害賠償(信頼利益の賠償)→責めに帰すべき事由は不要
ただし・・・売主が隠れたる瑕疵について悪意(知っていた)や知らなかったことについて重過失があった場合は契約違反として=履行利益の賠償
b)これにより買主が契約の目的を達することができない場合は契約解除が可能
(売主の責めに帰すべき事由は不要)
「契約不適合責任」
a)賠償責任・・・他の契約違反と同様扱い=「履行利益」の賠償→ただし、売主に責めに帰すべき事由がない場合は損害賠償義務を免責される。
この場合の売主の責めに帰すべき事由がないことの証明=立証責任は売主にあり→
買主は代金減額請求を選択できる。
*注*
売買契約締結上特約により、目的物に特定の瑕疵(契約不適合)があった場合には売主の帰責事由の有無を問わず一定額の損害賠償責任を負う・・・とする旨を定めた場合で、現にそのような瑕疵(売買契約及び取引慣習上に照らして判断された結果、債務者の帰責事由が否定され損害賠償責任も否定されるといったことは想定されていないとされます。
b)買主が契約の目的を達成することができない場合は契約解除可能
(売主の責めに帰すべき事由は不要)
相当な期間を定め売主への催告期間内に追完応じない場合は無催告解除もありうる
c)追完請求(修補・代替物引渡請求権)
売主の責めに帰すべき事由は不要
ただし、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは「追完請求権」はない。
d)代金減額請求
売主の責めに帰すべき事由は不要
買主が相当に期間を定め履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないとき、履行の追完が不能な場合には催告を要することなく直ちに減額請求ができる。
④特約の効力
「瑕疵担保責任」
a)瑕疵担保責任を負わない・・・旨の特約
→有効(ただし、売主が悪意=瑕疵を知っていた場合は特約の効果を有しない。
「契約不適合責任」
(特約例)
*契約の内容に適合しない場合であっても売主は責任を負わない・・・旨の定め
→有効(ただし売主が契約の内容に適合しないことを知っていた場合は効力を有しない。
*雨漏りがあっても責任を負わない・・・旨に定め
→売主が雨漏りがあることを知っていたとしても、契約の内容が雨漏りを前提としている場合は有効とし、契約不適合責任はない。
買主が雨漏りを知っていても、雨漏りがないことを契約の内容としている場合は、買主は契約解除等の請求権は有する。
a)瑕疵担保責任を負わない・・・旨の特約
→有効(ただし、売主が悪意=瑕疵を知っていた場合は特約の効果を有しない。
「契約不適合責任」
(特約例)
*契約の内容に適合しない場合であっても売主は責任を負わない・・・旨の定め
→有効(ただし売主が契約の内容に適合しないことを知っていた場合は効力を有しない。
*雨漏りがあっても責任を負わない・・・旨に定め
→売主が雨漏りがあることを知っていたとしても、契約の内容が雨漏りを前提としている場合は有効とし、契約不適合責任はない。
買主が雨漏りを知っていても、雨漏りがないことを契約の内容としている場合は、買主は契約解除等の請求権は有する。
⑤権利行使のできる期間
「瑕疵担保責任」
買主が瑕疵を知ったときから1年以内に権利行使することが必要
(引渡し時点から10年の時効あり)
「契約不適合責任」
a)権利行使できる期間=引渡しから10年の時効あり
b)a)の期間内に買主が不適合の事実(数量不足を除く)を知った場合、知った時から1年以内に売主へ通知し、かつ、知った時から5年以内に権利行使しなければ時効により、買主はその不適合と理由とする履行の追完請求・代金の減額請求・損害賠償請求又は契約の解除をすることができない。
*数量不足の場合=通常の時効にて処理されることになる*
c)売主が引渡しの時に目的物が契約の内容に適合しないものであることを知っていたとき又は重大な過失によって知ることができなかったときは、買主が知ってから1年以内の通知義務は免除される。
この場合、他の契約違反の時効と同様に買主が権利を行使できることを知ったときから5年又は権利行使できるとき(目的物の引渡し)から10年の時効にかかる。
買主が瑕疵を知ったときから1年以内に権利行使することが必要
(引渡し時点から10年の時効あり)
「契約不適合責任」
a)権利行使できる期間=引渡しから10年の時効あり
b)a)の期間内に買主が不適合の事実(数量不足を除く)を知った場合、知った時から1年以内に売主へ通知し、かつ、知った時から5年以内に権利行使しなければ時効により、買主はその不適合と理由とする履行の追完請求・代金の減額請求・損害賠償請求又は契約の解除をすることができない。
*数量不足の場合=通常の時効にて処理されることになる*
c)売主が引渡しの時に目的物が契約の内容に適合しないものであることを知っていたとき又は重大な過失によって知ることができなかったときは、買主が知ってから1年以内の通知義務は免除される。
この場合、他の契約違反の時効と同様に買主が権利を行使できることを知ったときから5年又は権利行使できるとき(目的物の引渡し)から10年の時効にかかる。