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家主が立ち退きを求めてきた。応じる?応じない?

借家の退去請求

家主が借家の立退きを請求できるのは・・・
1、賃貸借契約に違反がある場合と
2、契約違反がない場合
1の場合:入居者(賃借人)に契約違反がある場合は本より入居者側に立退きを求められる理由・原因があるわけですから、これについては契約解除・立退き請求をされる原因を改善是正することで家主との信頼関係を修正し契約解除立退き請求を取下げてもらえることが考えられます。
問題・係争、紛争となるのは2のケース
入居者(賃借人)が契約違反がないにも関わらず家主の都合により一方的に賃貸借契約の解除並び立退きを求めてきた場合になります。
前提として賃貸借契約は原則契約の更新がなく当初定めた契約期間満了日を以て必ず契約が終了し明渡ししなければならないので、こちらではケース1の定期借家契約様式ではなく普通借家契約をモデルにします。

②普通借家契約様式で家主からの賃貸借契約解除・明渡し請求が認められるのは・・・

入居者に家主との信頼関係を大きく損なう契約違反がない普通借家契約において家主が賃貸借契約解除・明渡し請求が認められるには家主に【正当事由】が必要となります。
【正当事由】ってナニ?どんなことが正当事由とされる?
(借地借家法第28条より)
①家主と入居者における対象建物を必要とする事情の強度(家主において賃貸している建物を必要とする度合いが入居者側より必要とすると判断するに足りるだけの事情があるか否か?)
②入居者側にて家主への信頼関係を損なっていないと判断するが、賃貸借契約の有効な継続は家主・入居者の双方において信頼関係が保たれていることなので、家主側にて入居者へ友好な信頼関係が損なわれた・・・と判断されるに足るだけの従前からの経過
③賃貸借建物の利用状況・現況
④家主が建物の明渡しの条件として或いは建物の明渡しと引き換えに賃借人(入居者)に対して財産上の給付をする旨がある場合その申出(立退料)
①が基本的要因でその他は補充的な要因となり中でも④の立退料は補充的要因として低くとらえられていながら判例では多くの場合必ずしもこれらの見解があてはまるとは言えません。

③賃貸借中の建物を家主が使用する必要性って・・・

1、家主自身の対象建物を自己使用する場合でも否定される場合あり
2、居住目的は、営業目的より厳しく難しい
3、身内の使用は自己使用に準ずる
4、サブリースを退去させて自身がオーナーになることを目的にサブリース業者を排 除する業者の中抜き=認められない
5、税金及び借入金の支払いのため売却するにあたっての明渡し
6、相続の事前対策及び事後処理
7、建物解体後の自己居住用のための建替えと理由とする明渡し=自己所有すること のエビデンス要
8、建物解体後の自社ビル建築のための建替え
9、借地上の建物の収去を求められた借地人
10、共同住宅の建て替え決議
11、都市計画事業や公団建替え事業など
12、建替えを予定していない解体目的=建物の老朽化
13、自己使用以外の建替え目的

④借地人の使用する必要性って・・・

1、事業としての建物使用が圧倒的理由=現に使用しているか?否か?
2、同じ共同住宅の住民に対する明渡しの場合でも、立退料等の条件が異なる
3、対象となる建物を家主が使用する必要性や借家人の必要性を上回ることが条件のひ とつとされるが・・・これについては明確な判断材料が決められずわからない
4、必要性以外の条件としては、対象建物の賃貸借に関する従前の経過や建物の利用 状況及び建物の現況(耐震基準構造を含めた老朽化や脆弱性など)「建物の既存す る地域の状況」が正当事由に影響を与えてるか?否か?
*裁判にあっては、例えば地域の状況において再開発促進地域かどうか?
 地域的要因は使用形態から個別的利用を見直し変えるかどうか?の判断材料にな  る。

⑤立退料

1、立退料の基本
①借地借家法28条の「条件」と「引換え」の違い
条件・・・建物明渡しとしての条件とし、条件は先行して整える
引換え・・・裁判にいたった場合は条件よりも引換えを重視される
②家主が提示した立退料金額を超える額の請求が認められるか?
 裁判所において認める判断傾向がある
③家主が提示した金額未満の立退料支払いを命じられることがあるか?
 基本家主が一度口を切って提示した立退料であれば支払うべき金額とされる
 ただし、事前に提示金額についての鑑定はされる。
④立退料の中身は何かを考える。
⑤不動産鑑定評価基準の「借家権」
 借家権と価格に算出する規準があいまいでわかりにくい。
⑥公共用地の取得に伴う損失補償基準(現実に引超しをする費用実費・差額家賃等)
⑦借家人に対する補償
(立退料を認める裁判所の考え方)
7つの分類
1、借家権価格
2、差額家賃等の補償方式
3、事業用の場合営業補償型
4、借家権価格+α型
5、賃料倍数型(賃料の何ヵ月分のように算出する)
6、総合考慮型(規準になる材料が整わず解りにくいので総合的に判断する)
分類中4番によるところが少なくなく、次に差額賃料等補償型(これについては居住用の建物に採用される傾向があるよう)
事業用の場合は実際のところ儲かっているのか?儲かっていないのか?がよくわからない。

⑥立退き対象建物が事業用の場合・・・営業補償はどように

再開発に伴う立退き要求で対事業用(診療所)のケース
用対連基準のよる
①工作物補償(もっていけないモノ)
②動産移転費用
③借家人補償
 a)家賃差額補償
 b)敷金補償
 C)権利金補償
④営業休止補償
 a)収益減補償
 b)得意先消失補償
 C)固定的経費補償
 d)従業員休業補償
⑤移転雑費補償
 a)移転選定費(媒介手数料等)
 b)法令手続費用
 c)移転通知費用等
上記のような算出費用補償が発生します。

⑦裁判例からみえてくるもの

①裁判所は必ずしも家主対して厳しくない
②家主が明渡しを受けた建物をそのまま使用する目的は少ない
 多くは建替えたいや売却したい・・・がその目的
③再開発や建替え目的が多い
④建物使用者や居住者の生命への危険性が高い場合などは家主の使用がなく解体だけの 目的でも明渡しを肯定される
⑤居住用の借家人が必ずしも優位に立てるわけではない
⑥居住用建物の立退料の基準となる額は、ほぼほぼ固まってきている
⑦事業・営業用の建物からの立退料は営業補償がカギになる
*立退きの現場からみえてくるのは・・・
a)自力救済は危険
b)立退き交渉は法律問題ととらえる
c)弁護士以外の者が代理交渉にあたると非弁行為にあたる場合がある
d)立退きが完了するまでの期間や費用の程度